総合人材サービスのパーソルグループでは、昨年2019年10月より個人を対象としたイノベーション体質強化プログラム「Drit(ドリット)」を開始しました。Dritの活動の一環として、新規事業やイノベーションに関するトークイベントや、ワークショップを開催しております。

今回のINNOVATOR'Sトークでは『著者沖山さんから学ぶ「ビジネスの仕組みがわかる図解のつくり方」』と題し、沖山氏に登壇いただきビジネスモデルを自分で図解する方法について講義をしていただきました。

沖山氏は経営コンサルティング企業を経て、フリーのコンサルタントとして様々な企業の支援をする傍ら、図解総研のコアメンバーとして活動しています。

「ビジネスモデル2.0図鑑」が出版されたのが20189月で、100の事例のビジネスモデルを同じフォーマットで図解した本は9万部を発行するベストセラーになっています。今回は沖山氏より「ビジネスの仕組みがわかる図解のつくり方」について講演形式でお話いただき、今後新規事業オーナーを目指す方が起案内容をビジネスモデル図解して整理する方法を教えていただきました。

 


20210512_沖山様

沖山 誠
1995年東京生まれ。「図解総研」理事。
明治大学経営学部会計学科卒。経営コンサルティング企業を経てフリーランスとなり、現職。
ビジネス書・教養書などを図解したnoteの解説記事が人気を博し、フォロワー数は3万人を超える。
図解をベースにした「本を読まずに参加できる読書会Booked」を主催し、大手企業や教育機関等に提供している。共著に『ビジネスの仕組みがわかる 図解のつくりかた』(スマート新書)がある。
 図解総研:ホームページ
 ビジネスモデル2.0図鑑:amazon販売ページ

 


 

円滑にするための共通言語としての『ビジネスモデル図解』

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――これから図解総研で理事をされている沖山さんに登壇いただきます。よろしくお願いいたします。

図解総研の沖山誠です。ビジネスモデルを図解で考えるということで、今回講演をさせていただきます。はじめに、図解総研について紹介させていただくと、私たちは様々な社会課題解決や新規事業創造を支援するビジュアルシンクタンクを名乗っています。

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図解総研の名前にもある「図解」はコミュニケーションを円滑にするためのツールと我々はとらえていて、役割の違う人同士で意思疎通をする共通フレームとして図解を発明していくようなことをしています。

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今回お話しする『ビジネスモデル図解』は、サービスや事業を図で描写し可視化して、何が違うのか同じルールで見たり比較したりすることができる特徴となっていて、コミュニケーション効率化の一つの武器として、理解していただければと思います。

 

 

図解は関係性を表すことが得意なビジネスモデルに最適なツール

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『ビジネスモデル図解』とは、そのビジネスは誰が関係しているのか、どんな関係なのか知るためのツールと表現しています。なぜ図解の手段でビジネスモデルを表そうと思ったのかというと、図解は関係性を表すことを得意としているので、ビジネスモデルに最適なツールと考えました。

全体像を言葉で表現するよりも、図解を活用して情報をなるべくそぎ落とし、シンプルにした方が把握しやすいということで、関係性を表すものに図解を取り上げています。

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なぜビジネスモデルは関係性を重視するのかというと、異なる主体の関係を作ることがビジネスの仕組みの基本となるからです。

 

 

あらゆるビジネスに通じる「利用者」「事業」「事業者」

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『ビジネスモデル図解』は重要な関係者や物である「主体」、主体の間を流れる重要な関係性である「矢印」、情報を説明する「補足」の大きく3つの要素で作られています。

「主体」には列に3つの段、行に3つあるので、3マス×3マスの合計9マスにビジネスの主体を配置して、シンプルにビジネスモデルのユニークなポイントを表現するルールになっています。

なぜ3段なのかというと、あらゆるビジネスが商品やサービスを受け取る「利用者」、商品やサービスそのものの「事業」、ビジネスを運営している企業の「事業者」で出来ているからです。

誰に対して何をやりとりしているのか、どんなビジネスで儲けがあるのか、誰が運営しているのかという順番で表現がされている構造になっています。

 

利用者と事業者の価値を表現するときに見る四つの「ヒト・モノ・カネ・情報」

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ビジネスモデルを見るときには、経済合理性は成り立っているのかを見ます。

まず1つはお金を払ってサービスを利用している利用者の経済合理性で、もう1つはどうやってお金を回しているのだろうというときに見る事業者の経済合理性です。利用者と事業者の視点が両立して、確かに経済合理性が成り立っていると確認できるものとして『ビジネスモデル図解』を見ることが良いと思います。

利用者と事業者の価値をシンプルに表現したいときには「ヒト・モノ・カネ・情報」の基本的な経営資源の観点で整理してみます。企業を効果的に巻き込んでいるような事例では「ヒト」、実現が難しかった領域をテクノジーで突破しているような事例では「情報」など、自分たちが表現したいものや、ビジネスモデルのユニークなポイントで迷った場合は経営資源の要素を洗い出してみると良いと思います。

 

 

誰に、何のために伝えるのか

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図解はあくまでもコミュニケーションツールなので、誰に、何のために伝えるのかが重要になります。自分たちで『ビジネスモデル図解』を作るときに、伝えることが変わってくると伝えるべき情報と優先度も変わると思います。

何か正解を求めて唯一正しい図解はなく、同じ事業、同じビジネスモデルを伝える場合でも、誰に、何のために伝えるのかという目的に応じて違う表現になります。

大きく目的が変わると図も変わり、優先順位にあった情報の整理ができているかどうかの観点で『ビジネスモデル図解』を作っていただければと思います。

 

 

 

「儲けを生む」から「価値を生む」へのアップデート

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次に、“ビジネスモデル2.0”というコンセプトについてお話しできればと思います。
我々は儲けを生むための「経済合理性」のみ重視されがちだった『ビジネスモデル1.0』から、価値を生むための「社会性」「創造性」を考慮した“ビジネスモデル2.0”にアップデートするべきと言うコンセプトを提唱しています。

その上で、Social「社会性があるか?」、Business「経済合理性があるか?」、Creative「創造性があるか?」の『S・B・C』のバランスが大事になってきます。なぜこの3つなのかを説明していきます。

 

 

 

事業に必要な「社会性」・「経済合理性」・「創造性」のバランス

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まずB(Business)です。企業活動を突き詰めると、銀行や株主から集めた資金や資本を土地や商品など自分たちの資産に変換することで、お客に価値を提供して利益を得る講造になっています。つまりBusinessの根幹は資本を資産に変換することではないかと思います。

次にC(Creative)です。資金や資本をただ資産に変換していけば良いわけではなく、ブランド・信用・人材・アイディア・ノウハウなどの「無形資産」が大事になってきます。無形資産が増えると市場の期待値が上がっていき、時価総額も上がっていきます。Creativeの役割とは、新しい付加価値を考えて資産を無形資産に変換して行くことです。

最後にS(Social)です。「気候変動の問題」、「長時間労働」、「女性の働き易さ」などの社会課題は過去には問題にされなかったのですが、社会的な認知が広まり対処しなかった企業の評判が傷ついてしまう。この様な非財務情報が財務情報に転換され、時価総額にダメージを与えたり、逆にうまく対応して株価が伸びたりという事が起き得る社会構造になっている。つまりSocialとは、いずれ財務情報に置き換わってしまう社会的な課題に事前にアプローチをしていくことです。

また、これらの3つのバランスは、実際に会計の情報として数字にも反映されるのでとても大事になってきます。

 

 

「社会性」・「経済合理性」・「創造性」を確認する3つの枠組み

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では『SBC』それぞれをどう考えるのか?SSocial)では『八方よし』という概念を、BBusiness)では先ほどの『ビジネスモデル図解』を、CCreative)では『逆説の構造』という3つのフレームワークが存在します。

先ほどの『ビジネスモデル図解』についてはお伝えしましたので、残りの2つについて紹介していきたいと思います。
『逆説の構造』とは「起点となる事業の領域から定説を見つけ、その逆説と起点を組み合わせるという構想」です。

逆説を考えるには話し言葉で伝わるかを試すと良いと思います。「俺のフレンチ」で言うと「一流フレンチって普通は椅子に座って食べる高価な料理だよね。でもこの事業は逆で立って食べる手頃な料理なんだ」と説明すると「他の事業と何が違うのか」が分かります。すると相手に話す時にそのまま使えるほどに言語化できて、ビジネスモデルに落とし込む時の判断材料や優先順位付けにとても使えると思います。

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『八方よし』とは、八方すべての関係者に対して共通価値を生む考え方で、八方は「社員、取引先・債権者、株主、顧客、地域、社会、国、経営者」のことを言います。

どこかを犠牲にして成り立っているビジネスは、短期的には利益を上げているかもしれませんが、持続的ではなくいずれ破綻してしまうモデルになっていると見ることができます。何か犠牲にしてないかという事を確認するフレームとして『八方よし』の考え方は有用ではないかと思います。

 

 

ビジネスモデルを作る流れとは?

――何か起点となる定説に着目して『逆説の構造』で考えてみる。そして『八方よし』でいろんなステークホルダー(利害関係者)の中でキーになりそうな人を見つけて、『ビジネスモデル』で図解するという流れなのかなと思いました。

そうですね。情報を削ぎ落として構造化していく時に、要するに何を言いたいのか立ち返るために、『逆説の構造』というのはユニークで使えるものだと思います。目的に対して必要な情報の中でも特にこれまでとの違いや、「他の事業と自分達の違い」を説明するようなフレームとして使えるので、我々も迷った時に立ち返るフレームとして使っています。ぜひ皆様も事業内容を立ち返って検討される際は、逆説的に物事を捉えその上で『ビジネスモデル図解』を作ることを意識いただければと思います。

 

 


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